岩手県の南端に位置し、世界遺産・平泉への玄関口となる一関市。
その中心部から車を走らせると、なだらかな丘陵地を背景に、
緑豊かな農地と住まいが広がる風景に出会う。
今回訪れた菊地邸は、幹線道路から旗竿状に引き込まれた敷地に建つ。 もとは伝統的な木造の日本家屋が建っていたが、東日本大震災で大きな被害を受けたのを契機に建て替えた。 現在は菊地さん夫婦と3人の子ども、菊地さんのお父様の3世代が暮らしている。 家の前にはお父様が勤めている会社があり、子ども達は多くの大人に見守られながら、 家の前でサッカーやキャッチボールをしたり、虫を捕ったり、元気に過ごしている。
「震災の年に長男が生まれたのですが、以前の住まいは、すきま風が多くてとにかく寒かったこともあり、 家族が一緒に暖かく過ごせる住まいにしたいと考えました」とご主人。 奥様は、一番こだわった点として、リビングダイニングの大きな吹き抜けを挙げてくれた。
「最初に生まれたのが男の子ということもあって、料理をしていても常に目が行き届くことが理想でした。 今でも、吹き抜けがあることで2階にいる家族の声が聞こえたり、子どもがおじいちゃんの部屋に行く様子が見えたり、 毎日の安心感や楽しみにもつながるので、このスペースが気に入っています」。
キッチンに設けた窓からは、外の様子もよく分かる。 「外で子どもが泣いていてもすぐ気が付くし、悪いことをしているのもよく見えます(笑)」。 リビングダイニングとキッチンが、3世代6人の家族をつなぐハブ(結節点)になっているのだ。
強い火力で子ども達の大好きな麺類も手早く料理。育ち盛りの食欲を満たすために、ガスコンロは欠かせない存在
住まいのエネルギーに関しては、震災を経験して電気だけに頼ることへの不安があったことから、LPガス併用に決めた。 「でも一番の決め手は、ガスで煮炊きした方が絶対においしいと思うからです。特にガスで炊いたご飯っておいしいんですよね。 炊き込みご飯でおこげができると、子ども達も大喜びで食べています」と奥様が笑って答えてくれた。
「おじいちゃんがいるので夜はガスコンロで煮物を作りながら、 ビルトイングリルでは子ども達が好きな肉のつけ焼きを作ったり、いろいろな料理を並行して作れるので便利です。 ガスコンロはタイマー設定もできるし、安全装置も付いているので揚げ物や煮物も安心です。 休日は、子どものリクエストで焼きそばなどの麺料理を作ることが多いですね」。
ガスで炊くごはんがおいしいと子どもにも大好評。
季節の食材で作る炊き込みごはんでできる「おこげ」
も楽しみのひとつだとか
もう一点、菊地家が導入して良かったと実感しているのが、ガス乾燥機。 夫婦共に介護・福祉関連の仕事で多忙なうえ、保育園に通う2人の子どもが毎日泥だらけの着替えをビニール袋一杯に持ち帰るので、 サッカーをしている長男も含めて「毎日夕方に洗濯機を3回まわさないと追いつかない」とか。 それを毎晩全て干すとなると大変だが、「乾燥機だと、疲れて帰ってきても洗濯物を干す必要がないし、 翌朝に取り込んでおいて時間がある時に畳めばよいので、とにかく助かっています」。
ガス乾燥機のメリットはそれだけではない。
「お風呂上がりにフカフカのタオルを使えるのも
大きな魅力です。ガスの乾燥機は絶対にお薦めです」
と奥様が力説してくれた。
部屋の寒暖差によるヒートショックを防ぐため、トイレや洗面所にはガスのパネルヒーターを設置した
オープンキッチンはコミュニケーションを取りやすいので、子どもも話をしながら自然と家事を手伝ってくれる
最後に、ご主人が住まいづくりのポイントに挙げた「暖かさ」についてはどうだろうか。
「冬はガス温水式床暖房とガスストーブを併用しています。また、父が同居しているので、洗面所やトイレの寒暖差をなくすためにガスの
パネルヒーターも導入しました」とご主人。
「床暖房とストーブを組み合わせると、冬でも家で汗をかくくらい暖かいです。また天井にシーリングファンを付けたので、
吹き抜けでも暖気が上部に溜まらず、リビング全体がこたつのように快適です。
あまりに暖かいので、外出がおっくうになってしまって」と奥様が笑う。
菊地邸ではソーラーパネルも導入した。「家族が多く電気代がかかること、
複数のエネルギーを組み合わせたいと考えて設置しました。
実感としてコスト削減に役立っていると思います」。
すきま風が多い日本家屋での暮らし、大震災で生活インフラが止まった経験などを経て
行き着いた「家族が安心して快適に暮らせる住まい」。理想の暮らしに必要な設備を充実したことで、
忙しい毎日でも料理や洗濯などの家事効率を上げ、冬にも暖かく過ごせる、3世代みんなにとって居心地良い住まいが実現した。
最後にご主人が「LPガスにして本当に良かったです」と語ると、奥様が大きく頷いた。